事故を起こした福島第一原子力発電所の膨大な処理水の2年後の海洋放出が正式決定したとの報道に驚いている。この10年、東京電力、行政と地域住民、漁業関係者の信頼関係を取り戻し、同時に納得できるような科学的知見を提示するような十分な話し合いがもたれたとは思えない…。政府の閣議だけで「正式決定」と言う手順が正当性を持つものなのだろうか。国会議員の野党などが反対の声を上げていたが、政治家の反対の声もパフォーマンスに感じる政治不信が渦巻いている。
処理水の海洋放出については安全性も論じられているが、個人的に、トリチウム以外の放射性物質が果たして本当に取り除かれているか疑念もあり、東京電力においては事故後も様々な問題が隠蔽されていた事もあって、対外的に信用信頼を得るには至っていないように感じる。近隣諸外国が反対している理由もこのあたりにあると思う。
専門的知識は乏しくわからない事も多いが、あまり問題視されていない凍土壁と言う原子炉格納容器への地下水流入防止策は、間違いなく100年後まで続くであろう廃炉にむけて十分な対策なのだろうか。他の地下水流入防止策では莫大な予算がかかると言う理由から凍土壁になった記憶があるが、その見立ては間違っていなかったのだろうか。
今までの対策対応も検証されず、情報公開が不透明な形での正式決定は早すぎる。
処理水(汚染水含む)の海洋放出は福島県だけの問題ではなく、日本や世界の問題。
ある人が、希釈して放出された処理水を誰もがそのまま飲んで大丈夫と言えるならいいが、そうでないなら不安しか残らないと言っていた。
信用信頼を得るために懸命に歩んできた地域住民に対して、せめて同じ土俵に立てる誠意をしっかりと明示して欲しいと思わずにはいられない。
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